ある朝、ひろみはいつものように家を出て十字路に向かった。

横断歩道を渡り、
「おはよう、ミラーボー」とあいさつをした。

「おはよう、ひろみ。きょうはひろみにとって、とっても良い日だな」

「えっ、良い日って、なに?」

「なんだか分かるか?」

「わからないよー。もしかして優のこと?」

「うん、そんなところかな」

「じらさないで、早く言ってよ」

「ひろみ、おれの足元を見てごらん。紙が一枚置いてあるだろう」

 ひろみはミラーの足元を覗いた。たしかに一枚の紙が置いてある。ひろみは右手を伸ばしてそれを拾い上げた。

「優が、それをひろみにって置いていった」

「えっ、優が・・・」

 それはハガキ半分ほどの大きさのきれいな和紙で出来ていて、ところどころに花びらが貼り付けてある。

そして、一番下に、「ひろみへ」、その裏に「優」と小さく書いてあった。

「優が、これをぼくに・・」

「ああ、よかったなひろみ」

「うん、でも、この花びら、なんだろう」