家に帰ったひろみはバッグを机の上に置き、ベッドの上に寝転んだ。

(ぼくの良いところって何だろう。そんなに勉強が好きなわけでもないし。
でも、かけっこは早いか)

ひろみはママに聞いてみようと思い、部屋を出て階下に降りていった。

「ねえママ、ぼくの良いところってなに?」

「えっ、良いところ?何よ急に」

「うん、ぼくって良いところがあるのかなって、考えちゃって」

「うーん、良いところねえ。よく寝ることかしら」

「そんなのないよ」

「でも、寝る子は育つって言うじゃない」

「そんなこと、優に言えないな」

「えっ、優って?」

「あっ、あの、共通の友達・・」

「優って子がクラスに居たかしら」

「うん、別のクラスに。ねえ、もっと良いところないの?」

「そうね。それじゃあ、うーんとおまけして、やさしいことかしら」

(まあ、それだったら言えるか)

ひろみは心の中で、そうつぶやいた。