もう……あんな辛い思いはしたくないと思った。

家から遠く離れたこの学校なら、前の学校の人はいないし、楽しくできそう。

そんな気分で毎日勉強して入ったこの学校。

クラスの先生も優しそうだし良かった…。

そして……帰りたくもない場所へ帰ってくる。

とても重く感じるドア、足が鉛のように重い。

どうかお母さんがいませんように

そう願ってドアを開けた。

「た、だいま……」

家からは物音1つしなかった。

それが寂しいような、でもホッとしたような。

そんな複雑な衝動に駆られた。