そのとき、
プルルルル
携帯がなる。
「ちょっとごめん。
はい?」
「…あ、蒼くん?
僕です。赤谷です。」
「……あ、お兄さん」
季蛍のお兄さんだった。
「季蛍が倒れたって聞いて。今、様子見に行こうと思うんですけど、いいですか?」
「…あ、はい、大丈夫ですよ」
「じゃあ今伺いますね」
「はい。」
電話をきる。
「誰ですか?」
「季蛍のお兄さん。今様子みにくるって」
「……ああ、」
「蒼先生ーッ。
急患いいですかー?」
看護師がパタパタと走ってきた。
「あ、いいよ。今いく」
高島に、あとで話す、と言い、診察室に向かう。
すると、見覚えのある人が、前から歩いてきた。
「あっ、お兄さん!!
………俺、急患入っちゃって…。
あの、季蛍に付き添いできないんですけど…」
「あ、全然いいです!!大丈夫です。自分1人で行きます」
「……すいません、」
「いえ」
微笑んでから、俺は診察室へと急いだ。