「これ、」
「あ、ありがとう。」
「今日は外来?」
「ううん。外来ないから今日は急がなくてもいいんだー。
季蛍と同じこと聞いてる。フフッ」
蒼は資料を捲りながら、微笑む。
「季蛍さんと同じこと…?」
「うん。季蛍も外来?って。
………季蛍疲れてるみたいなんだよね。
昨日もなんかずっと寝てて。疲れたまってるのかな…」
「……」
季蛍さん………
「…まぁ、ゆっくり休ませなきゃだなぁ。」
違う、蒼…
季蛍さん、今も苦しんでる。
体調、悪くて、蒼には頼れないのに、
1人で……………
耐えてる。
そんなことを、今すぐにでも知らせたいけど。
「………まぁ辛くなったら季蛍も来るしな。」
「違うッ蒼、季蛍さんは!」
「我慢している」
思わず、喉まで出かけた言葉を、飲み込む。
「……え?」
「……いや、その…」
…“私は、蒼が好きだから”
季蛍さんの想いを、俺が打ち砕くことはできない。
「いや、なんでもない」


