「今日は、なるべく痛くしないから。」
そう言うと彼女は立ち上がって、
「本当?約束!」
と診察室に入っていった。
「なるべくだからね」
一応遥花ちゃんになるべくを強調させる。
「はい、ここに腕おいて。永谷さん、消毒液」
「あ、はい。どうぞ」
看護士に消毒液をとってもらい、遥花ちゃんの腕に薄く巻かれた包帯を外す。
「傷、見たくなかったらそっち向いてた方がいいよ?」
「…はい」
「ごめんね。ちょっと痛いかも」
消毒液を腕に塗ると、遥花ちゃんは腕を引っ込めようと腕を引く。
「せん…せ……………痛い」
「ごめん、もうちょい」
「……せん………せッ」
「終わり。ゴメンね。よく頑張った」
「…先生の嘘つき」
「はいはい。」
ガーゼをあてて、処置をした。
「ん、OK。今日は終わりね。
あ、あとまだ体育だめだからね??」
「………わかってます」
「お大事に」
「ありがとうございました…」