コンコン
「失礼します」
「あ、港くん」
「季蛍さん。これ、」
患者さんのカルテと、薬………?
「え、これって」
「島内さんに渡しといて下さいって言われたんだけど………。季蛍さんどうかした?」
「えっ、イヤ………」
「………………そう、ならいいんだけど」
港くんは、私がデスクの上に置いた薬を不思議そうに眺める。
「港………………くん、」
「ん?」
「私、」
「うん。」
「体調、崩してるんです」
「…え?」
「で、でも、蒼には絶対………、、絶対言わないでほしくて、その………。」
「え………?熱とかあるの?」
「………計ってないんです…。どうせあるし。でも………。
蒼は今、生と死の隣り合わせの患者さん、持ってるから、絶対に私がそれを邪魔したらいけないんです。
絶対に。だから、今回は、今回だけは、私のこと、蒼には伝えないでもらえませんか………?」
港くんは私を、一直線に見つめる。
「………季蛍さん、それは………………」
「今だけは………。蒼には………」
「………………………。」