数十分したら、凪が診察室からでてきて、さっきの高校生の前に、目線を合わすようにして腰を下ろした。
「美亜ちゃん、だね」
「あっ……………は、はい」
「んー………と。腕っていうのはどの辺?」
高校生は、ブラウスの袖をまくる。
「………………この辺り。」
「…………………………んー………。」
俺は資料越しにその様子を見ていた。
「…ゴメンね。ちょっと触るね」
高校生は、かなり緊張している様子だった。
まともに凪のことを見ていない。
「………わかった、じゃあ今日ら薬だけ塗ることにしよ。あとで診察室に呼ぶからちょっと待ってて」
薬を塗るだけ、と聞いて安心したのか、ホッとため息をついた高校生。
「………今日はこれから学校?」
問診表になにかを記入しながら、彼女の方をチラチラ見ながら話す凪。
「……はい、ことあと学校行きます。2時限目ぐらいからは参加できると思って。」
「そっか、お疲れ様」
「はいッ」
「じゃ、待っててね」


