高島もちょうど診察室に戻ってきたようで、安心した顔をしている。
「よかった~、季蛍いたんですね」
「あ、うん。屋上に……」
「そうですか…。よかった……」
「ごめんな」
「いえ。季蛍…大丈夫…じゃなさそうだね。苦しいでしょ?」
「う、」
「じゃあ、季蛍…今日は聴診だけにしよう。薬も出すから。どうせ一週間後、定期検診だし。
ね、服捲るよ?」
ゆっくり頷く季蛍。
高島が服を捲り、聴診したあと、季蛍が俺の白衣の背を引っ張った。
「蒼ッ………………ッ」
「…じゃあ、薬だしときます、今度ゆっくりまた診ます。今日は少しだけ薬出すんで…………。」
「ありがとう」
高島は、『僕はこれで』と小声で言うと、診察室を出て行った。