トイレの中に入ると、個室のドアが一つだけ閉まってたから季蛍しかいないようだった。
トントン
「季蛍?どうした?大丈夫か?」
返事がない。
「季蛍!どうしたんだよ?ドアあけてくんない?」
数分ドアをノックしていると、カチャ
とドアが開く。
ドアが開いた途端、俺の胸元に倒れ込む季蛍。
「先生ッ」
看護士が心配そうに呼ぶ。
季蛍は、足にほとんど力が入らないみたいでズルズルとしゃがみ込む。
「無っ理…………」
微かな声で呟いた季蛍は、俺の白衣をギュッと掴む。
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