港が陽さんを抱えて、診察室に入ってきた。
「悪い、二回も」
「全然大丈夫。」
陽さんをベッドに寝かせた港は、陽さんの前髪を指で分ける。
額には、汗が。
それを、港がタオルで拭く。
看護士から受け取った点滴を、準備した。
「陽さん、今点滴するね?」
意識はあるようだけど、熱が高く、さっき嘔吐してしまったらしいので、多分体力的にも負担が大きい。
返事がないが、点滴を刺した。
「陽さん…辛そうだね…。」
「……なんで昨日の夜気づかなかったんだろ。夜の時点で具合悪かったはずだけど。」
そう言う港は、陽さんの髪をそっと撫でる。
「…………。しょうがないよ。俺だって季蛍の事ずっと見れてるわけじゃない。あんなことがあっても」
救急車で運ばれてくるようなことが。
「季蛍、あれからも寝不足続いたりしてるけど、俺がいないときとか多いし、全部見きれないときもあるんだ。」
港は、陽さんに布団をかけている。
「だから、陽さんもいつかは自分で言ってくれるようになるといいんだけどな」
「…………。
蒼は、本当にいい旦那さんだとつくづく思うな…。医者としても、旦那としても。」