引き出しから体温計を取り出して、陽のパジャマのボタンを開ける。
体温計を腋に挟んで、ぐっしょり濡れた額をタオルで拭く。
苦しそうに呻く陽を見ていて、なんだか俺まで息苦しくなってきた。
ピピピピッ ピピピピッ
体温計の音が鳴ったと思うと、陽がゆっくり目を開ける。
「ごめん、起こしちゃったな」
「あ……………………港」
「体調悪いだろ。今から病院行こう。」
体温計の表示を見てから、着替えを取り出す。
「嫌ッ!!!!」
懸命に首を振る陽。
「陽…熱が高すぎる。」
「大丈夫…………………」
「陽…。大丈夫そうに見えないし。このままだと意識失っちゃうかも。」
ブツブツ呟く俺を制するように、陽が腕を伸ばす。
「行かない…」
「陽、行かないと辛いのは陽なの。だから行こう?」
返事を聞く前に、サッサと着替えさせる。
「………………どうしても…?」
「どうしても。」