「……季蛍はそんなこと考えなくていいよ。今は治すことだけ」
そう言いながら、季蛍の服のボタンを開けていく。
「ゆっくり息してて」
ゆっくり息を続ける季蛍の服の中に、聴診器をそっと滑り込ませる。
「ん、OK」
服のボタンを直し、またベッドサイドに戻る。
「蒼…?私…入院になっちゃうかな」
今にも泣きそうな震えた声で言われて、思わず抱きしめたくなる。
「大丈夫。熱下がったら帰っていいって。」
「…………そうなの…?」
「ん、うん。季蛍が寝てるときに、もう検査済みだってさ」
「そっか…。」
「季蛍が思ってるよりも悪くないから平気。心配すんな」
「………………う、ん…」