やっと午前の外来が終わり、中庭の前を通ったとき。 中庭から見える、そこそこのケヤキの木。 その木を囲む、小さな池。 その池のそばに、見覚えのある顔が。 季蛍と高島…? 季蛍は地面に座り込んで膝に頭をうずめ、高島は季蛍を覗き込むようにしゃがんでいる。 高島が何か言っているようだが、ここからだと、聞き取れない。 手に持っていたペンを白衣のポケットにしまい、池のそばに歩く。