「飲、みたい…」 「…飲む?」 季蛍は頷く。 「じゃあゆっくりのんで」 少しずつ口の中に流す。 「……ゆっくり飲み込んで…」 ゴ、ク 「……吐きそう?」 「だいじょぶ…」 そのとき、PHSが鳴る。 「………はい?…………………………… え、はい、わかりました、いきます」 患者さんの急変。 季蛍大丈夫かな。 「……季蛍?ちょっと患者さんところ行ってくるね。それ終わったら帰ろうな。高島も見に来てくれると思うから。待ってて」 微かにうなずいたのを見てから、走って診察室を出た。