「熱計らせて?ね?」







「やだっ」










「………………。」













コンコン











「蒼先生?季蛍どうでした?」













凪の病院に行く前に、高島には言っておいたから、高島が心配して顔を出した。

















「…………熱も計らせてくれないや」






白衣からだした体温計をチラチラとさせて、素っ気なく笑うと、高島も苦笑いした。

















「季蛍、熱高いんですか?」















「………。かなりな。どういうわけか診せてくれないんだよ」

















「……。」













ベッドに横たわり、不規則な息遣いをまだ続ける季蛍を、2人して見つめる。 















「どうしよっ…………か。」












ここまでに季蛍が嫌がった経験はない。














いつもなら怠いときは、嫌でも無理に見せてはくれるし、せめて熱は計らせてくれる。










だけど、今回は、どういうわけか熱も計らせてくれない…。