「はい、お電話かわりました、松星です」
「…あ、蒼?」
「……………………………凪?」
凪は、俺の兄。
俺の働く、総合病院から五分くらいのところに病院を営んでいる。
『松星こどもクリニック』
小児科医。
「…うん。今、俺の病院に季蛍さんがいるんだけど」
「…………………………え?なんで?」
「………いや、なんでというか…。
病院の目の前の用水路に座り込んでた…っていうか。」
「………………え?
…………………………………そっか…」
「うーん、熱あるんだよね。
かなり高くて。さっき戻しちゃって。
で、どうしよう?
今、ベッドで寝てるんだけど…。」
「…………そっか…。
じゃあこっちの病院連れてくるわ。
今行くな」
「わかった」
医局を出て、白衣を脱ぎ、外へと向かった。