「………傘、忘れて…仕事帰り、濡れちゃった…」
「………なんで連絡しなかったんだよ」
「……………」
「……だ、って、
仕事………………………………」
「……だからって濡れて帰ることないだろ?
傘なんて買えばよかったし、タクシーで帰ってきたってよかったじゃん。」
「……………だって、だって…お財布忘れたもん……」
「……………………そっか、、。
でも電話くれれば迎えに行ったんだからな。」
「…ごめんなさい」
そうとすれば、あのメール…は?
メールがきた時間からして、陽がメールを送ったのは、もう、陽は家についている頃。
「陽、じゃあさっきのメール……は?」
「……………………熱、出ちゃった…」
「…もしかして、仕事先で?」
目に涙をいっぱいにためる陽。
「仕事先で熱だしたのか、、。
辛かったな」
陽の目からは、涙がこぼれ落ちる。
「でも、ちゃんと連絡してくれたんだ。
えらいじゃん。」
「うん、」
「……よし、一回リビング行こう。ここ寒いし、髪も拭かなきゃでしょ?」
そう言いながら、額に、手を当てる。
陽が、立とうとするけど、足元がふらついて、また座り込んだ。
膝裏に、手を回して、陽を抱え、リビングの椅子に座らせる。
「陽~?」
だんだんと、冷えてくる髪。
急いでタオルを持ってきて、髪を拭く。
仕事先からここまでっていうと、かなり長い。
そこを、傘なしで歩いてたなんて。


