第五章/彼の過去 私が倒れたあの日から約一週間がたった。 あれから過去を思い出すような悪夢は見ていないし、これといって代わり映えのない日々を送っている。 といっても 「野田さん、これまとめておいてくれない? 」 どさっと音を立てて資料を私の机の上に乱雑に置いたのは植村さん。 そう。 彼女から今だに私は嫌がらせを受けている。 といっても別に悲劇の主人公を気取るつもりはない。