「初めてですか? 」


「ああ」



社長の初めてもらっちゃった、とニヤける顔を抑えきれないのは、既に重症なのだろうか。



「今日のことだけれど……」



ちょうど信号が赤になり車が止めると、ゆっくりと話し始めた。



「気にしないでほしい。……というか、忘れてほしい」


「えっ? 」



社長の方に顔を向けるけれど、車内は暗くて社長の表情はよくわからない。