俺様社長の言いなりです

「えっ?……安田さん、どうしてここに? 」



ふと顔をあげると、少し息を切らした安田さんがいた。



「いや、小春ちゃんが泣かながら会社を飛び出していったのがたまたま窓から見えてね」



そう言って私の頬に流れる涙を指で拭った。



私を触れる手は優しくて、余計に涙が出てきてしまう。



「思いっきり泣きなさい」



まるでお父さんのような物言いに少しクスリとしながらも、安田さんの広げた両手に迷うことなく飛び込んだ。