裏庭で5時限目が始まるチャイムを聞いていた。
教師も生徒も余り寄り付かないこの場所は、クウと俺のお気に入りの場所。
今日はクウが俺の太ももに頭を乗せて寝ている。
うっすらとクマもあったし、多分昨日寝れなかったんだろう。
「あれ・・・アオくんが携帯かまつてるなんて珍しいねー」
目が覚めたばっかでゴシゴシと目をかいているクウの手を掴んで止める。
赤くなっちゃうじゃん。
携帯を閉じて、制服のポケットに入れる。
「前話してたヒナタに最近メールしたんだよ」
「ヒナタさん?」
「そ、中学卒業して連絡とって無かったけどなんか気になってメールしたけど一向に返信が来ねぇの」
俺は高校になって充実過ぎる毎日を送っていたから忘れてたけど、あの性格のヒナタが自分で友達を作るとは思えない。
俺のようにクウみたいな奴に出会えてたらいいんだろうけど、そうじゃなかったら今頃アイツは一人何だろう。
色々な人と関わる様になって、それまでの自分がどれだけつまらない日々を過ごしていたかがわかった。
同情・・・ではない。
「そーなんだ、一回気にかけたらちゃんと最後まで面倒みないとダメだよー」
そう言ってまた目を閉じたクウ。
クウのなんてない言葉がずしりときた。
【一回気にかけたらちゃんと最後まで面倒みないとダメ】
気になって何も考えずに連絡したけど、そういえばそうだ。
中途半端に関わるなら何もしない方がいい。
俺は、何かを間違えたか?
クウの頭を撫でようとした時、ブレザーの携帯が震えた。
携帯を開いてメールを確認すると、さっきまで話題になってたヒナタだった。
【別に】
最近どー。
その返信が別にの一言。
相変わらずの会話。
メールでも普通の会話でも、俺達二人の会話は簡潔な言葉が多い。