学校で言っていた通り、クウが俺ん家に泊まりに来た。

クウ争奪戦だとか色々あったけど、なんだかんだで楽しい時間はあっという間に過ぎ
て時刻は十時。

母さんのベタつきから漸く抜け出して、部屋で寛ぎ中。

ベッドに俺が寝転がって、クウはベットを背もたれにして髪をとかしてる。

ふんわり香る俺と同じシャンプーの匂いが、俺のモノって感じで優越感に一人で浸る。

ミディアムの長さの緩いパーマ。
明るい茶色に染めたのはこの俺、えっへん。

元々は真っ黒だったけど、クウは明るい色も似合うよなぁと思って言ったら。



「んー、アオくんが染めてくれるなら染よーかなー」



なんてはにかんで笑った顔に、俺のっくあうと。

ルンルンで染めた。

なんせ将来は美容師志望ですから。



「あ、アオくん!」

「んー?」

「クウはアオくんの中学時代が知りたいですっ」



・・・いや、別にいいよ。

でも、クウって・・・、クウが自分の事クウって・・・っ。



「アオくんはクウの頼みは断れません」

「やったぁー」



ワクワクしてるクウの頭をポンポンと撫でてから、起き上がる。

えーと、中学のアルバムはー、と。

あー、あったあった。



「はい」



クウの隣に座って、テーブルにアルバムを置く。

クウは目を輝かせてアルバムを開いた。

中学かー・・・、懐かしいなぁ。

あんま思い出はないけど、それなりに楽しかった様な気がする。



「あー!これは修学旅行の時ー?」

「そうそう」

「わぁ、アオくん体育祭で寝てたのー?」

「うん、疲れた」



クウは色々盛り上がってるけど、俺はそろそろ眠たかったりする。

なんでだ、何時もなら全然平気なのに。



「この女の子、アオくんと何時も一緒に写ってるー」

「え、誰」

「このロングヘアの綺麗な子ー」



ロングヘアの綺麗な女・・・、はて、そんな奴居たかな。

すぐには思い出せなくてアルバムを覗き込む。



「あぁ、ヒナタか」