振り向かないヒナタの後ろ姿はやっぱり中学の頃より小さくなっていた。
そして、ある一点を見て俺は目を見開いたと同時に、一瞬息を呑んだ。
白い薄いパーカーを羽織っているヒナタの腕を掴んだ拍子に着崩れたパーカーの下。
ノースリーブの服から見える肩には、ヒナタの白い肌には似合わない大きな青痣があった。
明らかにその面積は普通じゃない。
「ヒナタっ」
思わず出た声は俺が痛い訳でもないのに弱々しく、それなのにヒナタを問い詰める様にハッキリとしたものだった。
「アオイ‥‥」
苦しそうにヒナタの震えた声が俺を呼んだ。
その声を聞いただけで、こっちまで苦しくなる。
「私は、誰?」
「は?」
質問の意味が分からなかった。
「ヒナタだろ?」
それ以外の何者でもないだろ?
「私は、ヒナタじゃない」
分からない。
ヒナタが何を言っているのか分からなくて、頭が混乱してしまう。
