「アオくん」
「ん?」
「私は、アオくんに助けてもらいました」
…クウ?
なんの前触れもなく、クウの顔が真剣になる。
真っ直ぐ見詰めてくるから、俺も見つめ返す。
こんな真剣な顔は久々だ。
何時ものフワッとした雰囲気がまるでない。
…嫌な予感がする。
「助けてもらった時、私はほんとにアオくんがヒーローに見えて」
なんでこんなにも真剣な表情で言うのか考えれば、そういえばクウは昔から周りに敏感だったなと思い出した。
同時に、変に察しがいいんだということも。
「そんなアオくんを好きになりました」
でも俺も察しはいい方だから、だから体が勝手に動いた。
「ヒーローは、困っている人がいたら助けて「やめて」
クウの小さな口を塞いで、もうほとんど言ってしまったけどその先を聞こえない様にした。