《◇》
ブフゥーーーーーーッ。
あらまー、汚いよマミちゃん。
オレンジジュースが顔にかかっちゃったよ。
しかも、マミちゃんが一度口に含んだもの。
漫画みたいに吹き出すからびっくりしちゃった。
「ご、ごめんゴホッゴホッ」
噎せてるマミちゃんの背中をさする。
落ち着いたマミちゃんは、私の顔にかかったオレンジジュースを拭いてくれた。
おぉ、お母さんに口拭いて貰ってる子供の気分。
今居るのはマミちゃんの部屋。
今日はマミちゃん家にお泊りさせて貰ってます。
週に二回と結構お邪魔させて貰ってるけど、マミちゃんの両親は共働きで夜遅くにしか帰って来ない。
兄弟もいないマミちゃんは一人で留守番は嫌だと言って歓迎してくれたし、両親の方も誰かと一緒にいる方が安心出来るって言ってくれた。
「で、本当にそれあのアオイが言ったの?」
「それ?」
「だから、誕生日プレゼントにクウが欲しいって」
カァッと熱が顔に集まる。
思い出しちゃった、あの真剣な表情のアオくん。
ちょっとだけ恥ずかしそうに口元を隠したアオくん。
クウが欲しい
そう言われた時、私もアオくんが欲しいと思ってしまって・・・。
うわー、恥ずかしいっ。
私の反応を見て本当だとわかったらしく、マミちゃんは口端を引く付かせた。
「ないわー、ないわー。あのアオイがそんなクサイ事言うなんて」
似合わな過ぎて寒気する。
そんな大袈裟な事を言うマミちゃんは、ブルブルっと震えてみせた。
そんなに顔を引き攣らせなくても。
最高にかっこよかったんだから、アオくん。
「で?何が不安なの?」
「マミちゃぁぁあん」
ダラーっとだらしなくマミちゃんの胸にダイブして抱き着く。
不安で仕方無い。
付き合って半年以上が経つ。
私も高校生なんだし、そうゆう事は分かる。
だけどまだキス止まりで、一緒に添い寝したりしても手を出さないのはアオくんが私の事を考えてくれているからだと思う。
だから、そんなアオくんが私を求めてくれたから応えたい。
だけど・・・。
「大丈夫だって、悔しいけどアオイがクルミの事大事にしてるのは分かるから」
うん。うん。
私もだよ。
私も、アオくんが私を大事にしてくれているって何時も思える。
思わしてくれてる。
「だから、大丈夫だよ」