何だろう・・・。
何か違和感がある。
確かにヒナタは口数が多くない。
でも、この返しに納得出来ない。
【学校は?】
別にの返信に適当な言葉を見付けて返す。
ポケットに携帯を閉まって、やっとクウの頭を撫でられる。
「來美」
普段は呼ばないクウの本名。
特別な、特別な存在の名前はこんな俺が口にするには重いモノに感じる。
だから本当に、本当に偶にしか言わない。
いや、言えない。
あー・・・、大事だ。
俺に色々なモノを与えてくれて、傍に居てくれるこの小さな存在が。
[私はね、大切な存在を作りたくない]
余り語らないヒナタが話した本音。
[それで狂った人を、私は見てきたから]
ヒナタがそれ以上を語った事はないけど、アイツが抱えているモノは奥深く根深いモノの様な気がする。
「クウなら、簡単に救ってみせるんだろうな」
クウの才能の大きさに改めて気付いた。
「來美、好きだよ」
クウが小さく笑ったような気がして、恥ずかしい気持ちになった。
穏やかな寝息がのんびりと時間を進めてくれる。
そんな平和な日の5時限目の事。