ヘンアイ


四階建てのマンションの一室。201号室。

一人暮らし用の狭い部屋で
2人の女が向かい合っている。


「…さい。

……めんなさいっ。

…ごめんなさい! 許してっ…。

マオのこと本気なの!

マオと別れたくない…!」


声が高めの長髪の女は
もう一人の女に対し
手を付き、土下座をして声を震わせる。

対し、その姿を冷たい眼差しで
見下ろし佇む片方の女は
短髪で声が男のように低い。

「…うん。わかれないよ」

「ーー!」 

頭を下げていた女が
ハッとして涙で濡れた顔をあげた。

「その代わり、

条件がある。」


そうつぶやいた女の顔は
冷酷だった。