「メールのせいで気分も晴れないし、教室戻るか…」


柵にもたれて外を眺めていたが、メールのせいで気分が晴れなくなった。

は背後にあるドアから出ようと、振り返った。


「やあ。こんにちは」


今は授業中。


人が来るわけない。


なのに、僕を見てニコニコ笑ってる寝癖が目立つ黒髪の少年がいた。


「君誰?今は授業中だろ」


「そう言うキミこそ誰?今授業時間でしょ?」


いきなり正論……


「う、うるさいな。名前は?」


僕が正論をスルーして聞くと、それが面白かったのか少年は腹を抱えて笑っていた。


「いやぁごめんごめん。ちょっと面白くって。
僕は樂。九条 樂(くじょう らく)だよ」


「ふーん……僕は俊弥。南俊弥。
で、何で君はここにいるの?君みたいな生徒は見たことないけど、転校生?」


「その通り。キミのクラスにお邪魔するよ」


「え、僕の所?」


「そゆことっ!」


ニパッと笑って答えた樂君は僕とは違う方向の柵にもたれた。


「あ、そうそう。変なメール届かなかった?」


樂君は黒い携帯をいじりながら僕に聞いてきた。


「あーあのゲームってやつ?来たけど本気にはしてないよ」


「だよねー」


樂君は携帯で何か文を打っているようで、指がせわしなく動いている。