僕には兄がいる。


兄は天才という言葉がよく似合う完璧な人間だった。


テストをすれば満点を取り、マラソンをすれば一位を取る。


そんな人間だった。


僕は完璧な兄さんを心から尊敬していた。


でも僕は、兄さんみたいにはなれなかった。


簡単に言ってしまえば、兄さんは『望まれている人間』で、僕は『望まれていない人間』だ。


家に帰っても僕は怒られてばかり。


うんざりしていた。