カラカラカラ……
教室のドアを開けて、僕と真希さんは教室へ入った。
数人の人が登校していて、皆僕を見る。
「おはよう」
真希さんがぽつりと呟くように言った。
「おはよー」
「おはよう!」
「おはー」
口々に挨拶していく。
どうせ返答なんてしてくれないけど、言わないと後で煩いから僕も挨拶する。
「おはよ……」
ほら、だあれも返事しない。
「あなた達ね、私に返事出来るんなら俊弥にもしなさいよ」
真希さんが鋭い眼差しで皆を見詰める。
「何で?そいつなんかに返事する必要なくない?」
「そうだよ。調子乗ってるし」
一人が口を開くとまた口々に。
僕はいい加減イライラしてきて、わざと大きくため息をついて、皆を睨んで言ってやった。
「同じ人間に返事も出来ないとか、馬鹿じゃないの」
少し不機嫌そうだった皆は更に不機嫌になったようで、何かをぼそぼそとささやきあっている。
僕はそれを無視して席に座った。
真希さんももう一度皆を睨んでから、席についた。
それを見届けてから、顔を伏せて耳を塞いだ。
何も見たくない。何も聞きたくない。
僕は時間が過ぎるのをただひたすら待った。


