彼と彼女の距離が少し開いたのを見計らって、あたしは大股に歩いて行った。


彼の目の前に立つと、相手は驚いたように目を丸くし、そして立ち止まった。


「あ、君、ここのレジの……?」


その言葉に、あたしはうなづく。


嬉しい。


あたしの顔、覚えてくれていたんだ。


それだけで、心がポッと温かくなる気がす。


もう、十分だと思った。


でも……。