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(ただし御利用は自己責任で)


近頃のサイトも随分と楽になったものだ。
こっちが欲しがっている『第一希望』を入力して、送信するだけで結婚相手を探すことができる。


午前七時。
朝日が窓から照らして俺を殺そうとしてる中、いつまでも結婚しなさいと言われ続け、ついに手を出してしまった婚活サイトを眺めていた。
今の今まで仕事&ネットばかりの生活をしていたせいか、頭から流れる女の子のイメージははっきりと決まっている。

『エルフ、お姫様、色白、金髪、見た目ロリ、不老不死、ババア言葉、なんか偉そう、でも家事はできる、魔法とか使える、起こると最強、この世のあらゆる勝敗を管理するとかチート能力満載』

「まぁ、さすがにこんなのでヒットしないだろうけどね……。」

スマホをいじくり、少し悩んだ後、送信ボタンを覚悟して押した。
息をふぅとついてから立ち上がり、仕事へと足を運んだ。


帰ったらエロゲやろ。
そう気軽に考えながら、今日もシケたアパートに帰ってきた訳だが、

《おお、帰ってきおったか!!お帰りなさいと言ってやろうぞ人間!!》


…………なん、ですと………??


何故俺の部屋に身長が130センチ程度しかないコムスメが居座っている?!居座っている?!大事なことだから二(ry?!なんだ、この実際に住居不法侵入されているのは俺のはずないのに、なんかこっちばかりがカンキンとかキンキンとかで一方的に悪者扱いされそうなシュチュエーションは!!三日前に夜空に流れていたアレはやっぱりUFOとかで俺を社会的に抹殺するためにメンインブラックでも動き始めたかっ?!

一方の少女は、硬直した俺の周囲をくるくる回りながらあちこちを観察し始める。

《ふむふむ。東洋人に、経済学修得、黒い髪、中肉中背、健康体………近頃の婚活サイトはやはりすごいのう。やや顔が整っておらず全体的にオーラが足りないのが難ではあるが、多少の欠点が目をつぶろうかの。》

「根本的にも失礼だ!!!」

《アパートもボロボロで内装品も全体的に使い込まれているのに風格が現れんというか………ぶっちゃけダサい汚いのオンパレードじゃが、ワシは優しいから許すぞ。》

「こいつが幼女でなければぶん殴っているのに……っっっ!!……ん??婚活サイト??」

《お主も登録しているであろう。これじゃこれじゃ。》

と言って幼女(決定)がこちらに見せてきた携帯(しかもガラケー)の画面には、俺が朝いじくっていた結婚相談サイトと同じトップページが。

《ほれ、ここに指し示している全ての条件がワシを示しておる。これはまさにべすとかっぷりんぐじゃ!!》

「ええええええっっっ?!?!嘘だろ?!こんなめちゃくちゃな条件を書き込んだ俺が馬鹿なのか適合するヤツが馬鹿なのか?!?!」

《べすとかっぷりんぐじゃ!!》

確かに良く見ると幼女の耳はとんがっている。しかもピコピコ動いてる。明らかにこの世界のコスプレみたいな格好してる。ありえん……。

「そもそも見た目がロリでババア言葉希望したとか俺大丈夫か?!冗談としても大丈夫か?!心のどこかが真剣に疲れてるんじゃないか?!」

《なぁに。最近は異世界とも契約を果たすのに役に立つ婚活サイトができて国の者たちも喜んでおる。お主もよかったのう。アルフヘイム国の姫、ワシと結婚できるのじゃぞ。》

「それも該当してるのかよ!!!」

何故俺はもっとよく考えてから書き込まなかったんだ!!!爆乳のお姉さんと一言書きたさなかった?!?!

《結婚じゃ。即結婚。これは決定事項じゃ。取り消すことはできん。》

「じゃぁ、あれか……??次は火星まで新婚旅行に行けってか……??」

《何を言うておるか。ワシの国へ行って挨拶をせねば。》

「はい………??」

《なぁに、時空間がズレておるせいか、不老不死になるとか、1日遊んでこっちに戻ってくると百年たっていたとかアレコレ噂されてるが、まぁ、その、あれだ。気にするな。》

「それ現代でいう神隠しとか呼ばれてる怪奇現象じゃぁ……!!」

《怪奇現象がささやかれているのはお主らの文化が貧弱じゃからじゃ。ほれ行くぞ。剣と魔法の国アルフヘイムへ!!!》

「セールストークがスキル扱いされない世界なんか行きたくなぁぁぁぁぁぁああああーーーーーーーーい!!!!」



のちに、剣も魔法も使えない史上最弱の王として名をはせることになる。
彼の政治は一度も戦争が発生されなかったとも言われ、称えられている。
いわく。
ネットは最大の奇跡だとか。