教室に戻り座ると、夜都くんが不機嫌だった。
一週間で表情を見ていたら少しずつわかった気がする、これは不機嫌MAXだ。
あの女の子と話しているときは凄く楽しそうだったのに...。
また思い出すのはもう嫌なほど苦しい思い出だ。
学校が終わり家に帰ると、ストレスがたまりベッドに横になった。
次は同じ過ちをしないようアラームをかけて。
起きたら、ケータイがなっていた。
アラームではなく電話の音だった。
「もしもし...」
「お前は何でいつも出んの遅ぇんだよ......」
「すいません...」
夜都くんの声を聞き、また涙腺が緩んだ。
「別に......なぁ、椎名。俺はお前になんかしたか......?」
腰が浮くほどびっくりした。
苗字で言われるのは初めてでとても嬉しかった。
でも、本当のこと言おう。
...今日の昼の出来事を。
「あの...昼、女の子としゃべってましたよね?」
「はぁ?しゃべってねぇよ......」
「えっ...でも、私服の女の子と......」
「...............はぁ...」
短いため息をついた後、呆れた声でいった。
「あのさ......そいつ、男。幼馴染みで腐れ縁みてぇなもんだ...」
「......はい?」
「あいつ、女に間違われんの多いから分かるがな...」
か、かんちがい...だった......
あああああ!と叫びたくなる衝動を堪えた。いや、でも今の時代BLとかいうのはやってるからもしや...
「あの.....男の子もいけるんですか...?」
「は...?」
イケメンに限ってそういうのはよくあることだ。と腐女子の皆様が言っていた。
やはり...そういうことか...。
「...俺は何にも興味ねぇよ......。」
「何にも?」
反射的に返してしまい、やばいと思ったが夜都くんは鈍感なようで
「あぁ......何にもだ...」
と素直な意見が痛かった。
私しか思っていないのだと改めて実感する夜だった。