最後に近付くにつれて潤む視界と、ズズッと鼻を啜る音が出るのはこの作品が良作の証。
宣伝のコマーシャルの台詞の通り、ポロポロと涙を溢す私は、世界中が涙した!内の一人になった
訳だ。
話も終わり、エンドロールが流れ始めると何人かが帰る為に退室していくが、私はしない。
映画を観る時は、最後の最後までしっかり観る!
これも私の中の勝手な決まりだ。
エンドロールも終わるとパッと明るくなる照明に思わず目を細める。
多分、私以外の人だって今は目を細めているのだろうなと思うと少し可笑しい光景だ。
さてと。帰りますか。
席を立ち、席の隣に置いていたコーラの紙コップに手を伸ばした所で、動きを止めた。
…………あれ?
私、ポップコーンって買ってたっけ?
コーラの横に置かれた空になったポップコーンの箱。上映中に私の口へと何度も運んだキャラメル味のポップコーン。
でも、確か売店に行った時、時間がギリギリだったから、私が買ったのはコーラだけだった筈。
今更だけど、私はコーラしか買ってないんだ。今日は。
じゃあ、……これは誰のポップコーン?
その答えを示すかの様に止まったままの私に隣に座っていた男性がにこっと微笑み掛けてきて、空になったポップコーンの箱へと手を伸ばした。
あっ……
「あぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
目の前の男性を見つめながら、大声を上げたのは私で。
当然ながら、目の前の男性は私の叫びに驚いて目を見開いている。
でもそれどころじゃない。


