不思議そうな顔をして首を傾げる彼に向かって意地悪にニヤッと片方の口角を上げて笑うと口を開いた。
「昨日は残業お疲れ様です」
沈黙が訪れたのは、一瞬の事で。
「えっ!えっ!何でその事!?」
目を白黒させて聞いてくる彼に「さあ、何ででしょう」と言う私はちょっと狡いんだと思う。
その言葉で彼が少しでも私の事を考えてくれる時間を増やそうという意図が含まれているんだから。
「お、教えて下さい!梓さん!」
必死に私を見つめる彼。
梓さん。なんて呼ばれるのも少々照れるお年頃。
さて、
「お昼ご飯でも食べながらお話ししましょうか?」
「お、お願いします!」
すんなり私の提案に乗る久米さんは、多分私が彼の買ったポップコーンを勝手に食べてしまった事を忘れてしまっているのだろう。
だって、本当は主導権は彼にあるんだから。
二人で並んで映画館の外へと出る。
久米さんは、あのお店が美味しいんだ!と楽しそうに私にお店を教えてくれる。
その笑顔につられる。
さて、枯れた木もそろそろ栄養分を欲してます。
今日は、最高に良い一日になりそうだ。


