まじまじと彼を見つめる私の目が嫌だったのか、彼は私から少しだけ目を反らす。
そんな彼の耳は赤く染まっていて、照れている?という感じがするのは、私の気のせいだろうか。
「あのー、そのー、……一応ナンパです」
「…………」
言いにくそうに彼の口から出てきた言葉に目を見開いたまま声が出ない。
だって、何ていうナンパなんだ。
こんなナンパのされ方初めてだよ。
「駄目ですか?」
彼がそう言って首を傾げた瞬間、ドクンッと跳ね上がる心臓。
それを合図にかぁっと熱くなってくる顔。
「いや、全然駄目では無いんですけど…」
「彼氏さんとかいらっしゃるとか…ですか?」
恐る恐るという感じで聞いてくる彼に、ぶんぶんと首を横に振りながら「いえ、いません」と否定する。
それに対して、
「良かったぁ」
とふわっと笑う彼の笑顔から目が離せない。
キュッと胸を捕まれる。
「あの、お昼を奢るという事で大丈夫ですか?」
そんな心境を悟られない様に冷静にそう聞き返す私は、やっぱり歳をとったのだと思いしらされる。
もう無鉄砲に突っ込んで行く勇気が無いんだ。
予防線を張らないと前に進めない様になってる。
「あっ、いえ、そういう意味じゃなくて!えっと、そのー、一緒に食べてくれるだけで良いんです。お金は寧ろ僕が奢ります!」
「でも、それじゃ…」
私とは違ってナンパだと言い切る彼は予防線なんて張ってないんだろうな。


