ドキドキ


その日の部活は絶好調だった。

紅白戦で3年に勝ったし。



・・・・俺って単純・・・



部室で着替え中、いつもつるんでる栄太が聞いてきた。



「今日、いつものトコ寄る?」


いつものトコ。

いつも行ってる、定食屋。


部活の後は腹減ってるか、家まで持たないし・・・



安いのにガッツり食べれていいんだけど。


「ごめん、俺、パス」

「金欠?」

「いや、ちょっと・・」

「なんだよ?」


「彼女・・・・待ってるから」


小さく言う俺に


「はぁ?!おまえ!いつのまに?!」


部室で着替えをしていた全員が俺を見る。


「お前、声でけーよ・・・・」


「誰?!誰と付き合ってんの?!」


はぁ・・・・部員全員にバレバレじゃん・・・


まぁ、隠すつもりもないけどね


それから全員に質問攻め。


答えれる内容なんて少ししかないし。


今日告られて、帰る約束しただけ。


「葵ちゃん!?お前、あの子、結構人気あんだぞ!」

「ずりぃーお前ばっかー」

「なんだよそれー、狙ってたのにー」

とか。

それぞれがブツブツ言い出す。


うるせーよっ


そのなかこそこそと帰る準備を済ませ。


「じゃ、おっ先~」

と逃げた。


「おい!修!待て!!」