不登校、オタク、引きこもり、と聞いて出てくるのはきっと脂テカテカの奴だろう。私だってそう思う

ビローンと間抜けな音を鳴らす携帯ゲーム機からは、いつもの爽やかな笑顔と、ノーマル、と表示された画面
後ろの棚には漫画が敷き詰められていて、少し散らかる部屋はいかにも、な雰囲気で

ピンポーン

インターフォンが鳴った、誰だ
宅急便とかなら無視しよう、なんか眠くなってきた

ピンポーン、ピンポンピンポンピンポーン!

誰だ、もう宅急便も五月蠅いな
寝よう、寝て無視しよう

「おい、詫間!居留守すんじゃねーよ、おいっ!開けろ」

「えっ?」

焦った
この辺にくる宅急便のおじさんの声じゃないし、まず怒鳴られたし

怖い、どうしよう…出たら出たで「おせーんだよ!」とか言われて殴られそう
出るべきかな、さっきからドンドンバンバン五月蠅いし

「よし、出るぞ……」

フライパンを握り締めて、怖くない怖くない…と自分に言い聞かせる

ゆっくりと玄関のドアへ近づく、ドキドキと心臓が鳴りやまない
鍵に手をかけて、反時計回りに半分回す、カチャリと鍵が開いた音がする

慎重に、慎重に握ったフライパンの手に力が籠るのを感じながら
ドアを開ける

「おせーよ」

「ひっ」

そこには

イケメンが仏頂面で、仁王立ちしてました