(こんなもの渡されても、いまさら) わたしは帰路につきながら、あらためて封筒の中の飾りを取り出した――出そうとして、白い封筒に紛れて気づかなかった同色の便箋に目を留めた。 二つに折られた、なんの変哲もない地味な便箋には、線を無視した短い文が、まだ新しいインクでこう綴られていた。 『おまえとは、できれば十年前に出会いたかった。 これは、俺の自己満足だ。 うれしかった。――元気でな。』