私が髪を切った訳






思わず、あっという声が洩れた。






「それ、あんたが気に入ってたヘアゴムの飾りじゃん。なんであいつが?」






中から出てきたのは、以前わたしが愛用していたゴムにあった、花の飾りだった。





とうに捨てたそれをなぜ先生が持っていたのかわからず、わたしは友と顔を見合わせた。







今から一年ほど前、廊下を歩いているといきなりゴムが切れて、付属していた飾りが一緒に床に落ちてしまった。




金で縁取られた花形の中に、きれいなガラス石がはめられた繊細な作りで、控えめながら華のあるそれをわたしはとても気に入っていた。





枠は事なきを得たが、落ちた衝撃で、いくつかのガラスの花弁が枠から飛び散り、ついに全部を見つけることができなかった。







これではあまりに不恰好だと、その場で諦めて捨てたはずだった。