私が髪を切った訳






「なに?」




「うん、あのね」






歯切れが悪い。







「なんなの? もったいぶらないで言ってよ」




「じゃあ、言うけど……あんた、先生となんかあったの?」







あたりを憚るように言った友の言葉に、わたしは硬直した。







「どうして?」




「昨日の帰りのホームルームのあと、わたし、いきなり先生に呼び出されたの。それで、これをあんたに渡してくれって頼まれた」







渡された薄い封筒はすごく軽くて、手で検めると、いちばん底に、硬質な感触があった。








「一緒に、ごめんって伝えてって、言われた」









どういう意味? と問いかける友を置き去りに、わたしはふるえる指先で封筒を開けた。