大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

「とにかく食べるぞ、腹減った」

「え、あ、うん」

言われるがままになり、私は、指差された資材の上に座り、

弁当を開ける。


「・美味いな」

「・・・そうかな」

少ない言葉に、最低限の言葉を返す。


「そう言えば、羽菜の手料理なんて初めてだよな」

「そう、だね」

・・・仕事ばかりで、会う時はいつも外。

外食ばかりで、手料理なんて振る舞った事はなかった。


それ程、洋二と親密な関係になる事はなかった。

体を重ねたのだって、1年の付き合いの中で、ほんの数回だけ。

洋二は私を大事にしたいからと言って、やたらと抱くことはなかったから。



…大事にされてたんだよ、ね。きっと。


「…博さんとどこで知り合ったの?」

「・・・え、ここだよ」

「…現場で?」

「うん、些細な事がきっかけで、気が付けば惹かれあってて、

付き合い始めたのは、ここ数日のうちなの」


私の言葉に、驚きの眼差し。

確かに出会いは、ありえないような事だから。