大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

その音が、静かな現場の中に響いた。

「…博さん?」

「・・・」

オレに気づいた岡田が、こちらに近づいてきた。

オレは、無表情のまま、岡田に視線を向けた。


「今帰って来たんですか?」

「・・・あぁ、監督は、何しに来た?」

目線を逸らし問いかけると、岡田は普通に応える。


「この前頼まれてた件の事をお知らせに来たのと、

現場の状況を確認しに来たところです・・・あ。

奥に羽菜さん来てますよ」


「…そうか、羽菜は何しに?」

「え?・・・博さんを見に来たんじゃないんですか?

メールは入れたって聞いてますけど」

素知らぬ顔で応える岡田に腹が立ち、それでも聞けない自分に、

もっと腹が立った。


「・・・で?この前頼んでた件は?」

「え、あ、はい、あのですね・・・」

オレの態度がおかしい事に、岡田も薄々気づいているようだったが、

そこには触れることなく、用件を言うと、工務店に帰って行った。