大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

…それからショールームに着いた私たちは、

まるで友達のように、楽しみながら、水回りの物について、

話し合いを進めていた。


「…ゴメン、遅くなった」

息を切らせながら、作業着のままの博さんが、

額に薄ら汗を光らせ、ショールームにやってきた。


「凄い汗、ハンカチ使ってください」

私は慌ててハンカチを差し出した。


博さんはそれを受け取って、額の汗を拭う。


「愛の力って偉大ね」

ボソッと呟いたのは、多田さん。


それを聞いた博さんは、心なしか、頬が赤い。

私は首を傾げる。すると、多田さんが小声で言った。


「本当は、ここに来るの無理だったのよ。

打ち合わせが入っていたはずだから・・・

でも羽菜さんを、悲しませたくないって、無理してきたのよ」


「エ?!・・・そうだったんですか?」

驚いて博さんを見れば、博さんはバツの悪そうな顔をして、

そっぽを向いてしまった。


…博さんの優しさに、胸がキュンとなった。