大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

博さんの言葉に、顔を上げる。

そして必死に首を振ってみせる。

「嫌なわけないじゃないですか」

「…無理しなくて、いいんだぞ?」


博さんは私をジッと見つめる。

「嫌なんじゃなくて、そんなに大事な物を、

私が貰ってもいいのかなって思っちゃって・・・」


「良いに、決まってるだろ?羽菜は、オレの大事な人なんだから」

そう言って博さんは、手を伸ばし、そっと私の頬に触れる。

・・・まるで、宝物を扱うかのように。


私はその手に、片手でそっと触れた。

「・・・ありがとうございます。大事に、大事に、

使わせていただきます」

そう言って微笑めば、博さんは一瞬だけ泣きそうな顔になる。

でもその顔を見られたくないのか、私をギュッと抱きしめた。


「…泣いてるんですか?」

「バカ・・・泣いてるわけないだろ?

…嬉しんだよ、その指輪を受け取ってくれた事が」


・・・そのまましばらく、2人は黙ったまま、

抱きしめ合っていた。