大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

「母さんの事黙っていてすまなかった」

「いいんです、こうやって聞かせてもらえたから」



「…この指輪なんだけど」

突然指輪の話。

でも指輪は、博さんがはめていたもの。右手の薬指にはめていた。


私は黙ったまま、その次の言葉を待った。

「これ実は親父がしてたものなんだ。

それで、これは、母さんがしてたもの・・・」

そう言った博さんは、ポケットから指輪のケースを出し、私に見せた。


「母さんが、オレが進路を決めた時、これをくれたんだ。

大事な人と、使ってほしいって。…お古だけど、

羽菜に受け取ってもらいたいんだ、つけなくてもいい。

デザインが気に入らなければ、結婚指輪は新しく買うから」

そう言って、私の掌に、そのケースを置く。


「・・・」

私はそれをしばらく見つめていた。



「持っておくのも嫌か?」

博さんが言う。