大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

リビングの横には和室があり、琉球畳が使われ、

畳の真新しい、いい匂いがした。

「…この角のドアは?」

廊下の角にあるスライド式のドア。

ここは一体何の部屋なのか?


「そこはねぇ、私のお城だよ」

「・・・え?」

そう言ったおばあちゃんが扉を開けると、とてもよく光の入る

日当たりのいい部屋で、ベッドと棚、収納庫などがあった。


「私一人だしね、この先いつ介護が必要になるかわからないから、

車いすになっても、この部屋なら、出入りは楽だろうし、

おじいさんの仏壇が置かれた部屋もすぐ隣だし、言う事無しだね。

博さんが、私の無理難題に、しっかり答えてくれた最高の私の部屋さ」

そう言っておばあちゃんは笑った。


博さんは穏やかな顔で、おばあちゃんの顔を見つめ、

私を見た時には嬉しそうに微笑んだ。


…2階は、夫婦の寝室と二つの子供部屋が完備されて、

申し分のない、最高の部屋だった。


「見せていただいてありがとうございました」

そう言っておばあちゃんに頭を下げる。


「明日には引き渡されるんだけど・・・あの事、

考えてくれたかい?」

そう言って私を見つめたおばあちゃんは不安げな顔を浮かべた。