オレはそのスープを、物の数分で平らげた。

「おかわりいります?」

そう言って微笑む羽菜。

…もう少し時間はある。

頷いて見せると、おかわりを入れ、またこちらに帰って来た。


しっかりと朝食を取ったオレは、なんだか気分が良かった。


「ありがとう。朝早いのに、朝食まで作ってもらって」

そう言って羽菜の頭を撫でる。


「大工は重労働ですから、これくらいどうってことないです。

今日から遅くなるんですよね?」

そう言った羽菜は、少し寂しそうで。


玄関まで見送りに来ても、その顔は、やっぱり寂しそうだった。


「三浦さんのお宅も、大詰めだからな。

大工の仕事が終わったからと言っても、まだ内装がある。

工期が遅れない為にも急がなきゃな」


「そうですよね…頑張ってくださいね」

そう言って微笑んだ羽菜。

オレは、そのけなげな羽菜が愛おしくて、

行ってきますのキスを落とした。