「まぁ、この先、2人が結婚すると言うならの話しなんだけどね?

あの家は、私とお爺さんの思い出の家だから、壊すのは嫌なんだ。

あの形だけは残しておきたい。その代わり、中の内装は、

好きに変えてくれて構わないよ。昔の家だからね?

使い勝手はよくないから…羽菜ちゃんの好きに使ってくれていい」


「…おばあちゃん、話しが突然すぎて、

どうお答えしたらいいか・・・」

困惑の表情でおばあちゃんを見つめる。

でもおばあちゃんは、相変わらず優しい微笑みを浮かべたまま、

話しを続けた。


「羽菜ちゃんの言葉は最もだ。突然こんな話をされても困るよね。

でも、貰い手がなかったら、あの家は、壊すって息子に言われてね」

「・・・え」

…おばあちゃんとおじいさんの思い出の家を?


「おじいさんは会社の経営者でね?持ち家はたくさんあった。

だから、一つや二つ壊しても困りはしない。でも、あの家だけは、

私が死んでも、誰かに住んでもらいたいんだ。

お金なんていらないよ。…改装費用は少しなら援助できる。

腕のいい博さんにあの家を直してもらって、私の大好きな、娘のような羽菜ちゃんと、

博さんが住んでくれたら、こんなに良い事はない。

…返事は急がないから。・・・よく考えて、答えを聞かせておくれ。

いい返事を待ってるよ」


「…おばあちゃん」